折々の記（40）
去る7月19日、横浜みなとみらいホールで清水和音ピアノリサイタルを聴いた。コンサートを聴きに行ったのは今年1月以来である。これまでにいくつかの催しがチケット購入後にコロナ感染症対策のために中止になった。今回のコンサートも主催者側から購入済のチケットを返送するようにとの連絡があり、、返送後に新しいチケットが送り返されてきた。それを持って会場に行くと、来場者は収容人員のほぼ半数であり、自分の席の両隣りと前後は空席であった。隣に人がいないのでゆったりとした気持ちで聴くことができたが、主催者や演奏家に十分な収入があるかどうか心配になった。プログラムの下欄には、払い戻しを辞退した約80人の名前が「寄付者」として記載されていた。
さて当日のプログラムは、「モーストリー・ショパン」というタイトルで、ショパンのプレリュード、即興曲、マズルカ、バラード、ノクターン、ワルツなど全部で11曲が演奏された。最後のポロネーズ第6番「英雄」は、壮大で迫力に満ちた素晴らしい演奏であった。その前に演奏された3つのワルツは、「子犬のワルツ」など聴き慣れた旋律で、ショパンを楽しむことができた。プログラムの中で、ショパン以外の作品は尾高惇忠の「清水和音に捧げる曲」で、世界初演とのことであった。清水は、この曲の演奏時のみ楽譜を持参し、他はすべて暗譜で演奏した。清水和音は私が好きなピアニストの一人で、以前に三大ピアノ協奏曲（ショパン、チャイコフスキー、ベートーベン）をすべて暗譜で弾いたのを聴きに行ったことがある。