人生折々の記（33）
イングリッシュガーデンを主なモチーフとして多くの美しい作品を描いてきた米国在住の女性画家イーダ・ヴァリッキオさんが昨年11月、95歳で永眠した。イーダさんの絵は、美しい
花々が中心となり、優しさが漂う作品が多かった。イーダさんは1923年にイタリア人を両親としてトルコで生まれ、1930年にイタリアのジェノバに移住した。1942年頃から
オスカー・サコロッテイに師事して絵画を学んだ。1947年にトリノで初めての個展を開いた。その後米国人と結婚して1967年にサンフランシスコに移住した。その後、日本など各国で個展
を開いてきた。イーダさんは、2000年と2009年に来日して伊勢丹相模原店などで個展を開いた。筆者は画家の初来日の折に展覧会場を訪れ、多くの作品の中から美しいイングリッシュガー
デンを描いた作品が気に入り、購入した。丁度長野県の八ヶ岳山麓に小さな山荘を建てたのでそこに飾る絵を探していた。イーダさんにそのことを話すと喜んでくれて絵にサインしてくれた。
画家は2009年にも来日してやはり伊勢丹で個展を開いた。その折にも白い花をモチーフにした小作品を購入した。この作品は自宅に飾っている。今回は最後の機会なので、伊勢丹会場を
訪れ、美しい花々の世界に浸ることができた。そして、美しい湖をバックにしたガーデンの作品を購入した。遠景の湖の彩色が美しく、柔らかであった。
イーダさんの新作をもう見ることができないのは残念である。