ミニ解説（190)

21世紀の新農薬（96）ベンズピリモキサン

ベンズピリモキサン（商品名：オーケストラフロアブル）は、日本農薬が開発したベンジルオキシピリミジン系の新規ウンカ防除剤である。国内での初年度登録は2020年9月で、2021年5月現在10%水和剤および0.5％粉剤が登録されている。同社の研究開発グループは、ある種のベンジルピリミジン化合物がトビイロウンカ幼虫に対して殺虫性を有することを発見し、構造と活性との関連を追及した結果ベンズピリモキサンに到達した。
ベンズピリモキサンの作用機構は、虫体内におけるエクジステロイドの濃度推移をかく乱して脱皮異常を引き起こすと考えられている。本殺虫剤はカメムシ目害虫に対して高い殺虫活性を示し、特に水稲のウンカ類、ヨコバイに対して高い殺虫活性を示す。しかし、トビイロウンカの生育ステージ別の活性を調べると、幼虫に対する効果が高く、成虫に対しては低活性であった。従って本剤の使用適期は、幼虫が多い時期である。ベンズピリモキサンは、水性の有用昆虫やミツバチなどに対して高い安全性が認められている。本剤のADIは0.026mg/kgbw/day（イヌ慢性毒性試験基準）、ARfDは、10mg/kgbw/day（ウサギ経口毒性試験基準）と設定されている。