ミニ解説（187)

21世紀の新農薬（93）シクラニリプロール

シクラニリプロール（商品名：テッパン液剤他）は、石原産業が開発したジアミド系の新規殺虫剤である。国内では2011年に日本植物防疫協会を通じて公的委託試験が開始され、2017年に農薬登録がが取得され、2018年に上市された。2021年3月現在、単剤として液剤が、またフロニカミドとの混合剤が上市されている。本殺虫剤は、果樹、茶のチョウ目害虫に低薬量で安定した殺虫効果を示し、加えてカメムシ目、アザミウマ目、甲虫目、ハエ目害虫、ダニ類にも幅広い殺虫スペクトルを示す。また、速やかな食害抑制効果を特長としている。
本殺虫剤の土壌中残留性は、砂壌土（米国圃場）中での半減期が343日と比較的長い。ラットに対する急性経口毒性、急性経皮毒性は何れも>2000mg/kgと報告されており、急性神経毒性は認められていない。