ミニ解説（186)

21世紀の新農薬（92）ジクロベンチアゾクス

ジクロベンチアゾクス（商品名：ブーン箱粒剤他）は、クミアイ化学が開発したベンゾイソチアゾール系の新規水稲用殺菌剤である。この殺菌剤の令和3年2月現在の国内登録状況は、箱粒剤１種、クロラントラニリプロール、トリフルメピリムなどとの混合剤3種が登録されている。これら粒剤の適用は、水稲いもち病、シラハガレ病、もみ枯れ細菌病、穂枯れ病の防除である。この殺菌剤の作用機構は、シロイヌナズナを用いた試験ではサリチル酸伝達経路を介する病害抵抗性関連遺伝子の発現誘導が認められたので、抵抗性誘導と考えられている。また、インビトロ試験でイネいもち病菌に対する菌糸生育抑制、発芽抑制、付着器形成阻害作用が認められた。本剤は、茎葉散布、水面施用、種子処理のいずれでも前記病害防除に有効である。本剤のコイなどの有用生物に対する毒性は低い。本殺菌剤のADIは、0.05mg/kgbw/day（ラット2年間慢性毒性基準）であり、急性参照用量(ARfD)は設定の必要ないと判定されている。