ミニ解説（176)

21世紀の新農薬（82）トルピラレート

トルピラレート（商品名：ブルーシアフロアブルなど）は、石原産業が開発したベンゾイルピラゾール系の 除草剤である。国内での初年度登録は平成28年11月で、令和２年5月現在単剤、混合剤各１種が登録されている。混合剤の配合相手は、 ニコスルフロンである。トルピラレート剤は、一年生イネ科雑草、広葉雑草に有効であり、とりわけ雑草・とうもろこし間の選択性 に優れている。そのため、飼料用とうもろこしに対して茎葉散布、全面散布が可能である。本剤は、とうもろこし体内で標的部位で ある4-HPPD酵素に対する親和性が雑草に対する場合よりも低いので、とうもろこしに対して高い安全性を示す。4-HPPDが阻害される と、植物体内でカロチノイド生合成に関わるプラストキノン生成が阻害されるので、植物は白化症状を呈する。
トルピラレートの土壌残留性は短く、圃場条件で推定半減期は5.8日と報告されている。ラットに対する急性経口LD50 >2000mg/kg, 急性経皮LD50>2000 mg/kgである。