ミニ解説（174)

21世紀の新農薬（80）テフリルトリオン

テフリルオリオン（商品名：ホクコーマイテイーワン１キロ粒剤など）はトリケトン系の水稲用除草剤である。国内での初年度登録は平成２２年年２月に遡り、令和２年２月現在単剤 ３種、混合剤約７５種が国内登録されている。混合剤の配合相手は、オキサジクロメホン、フェントラザミド、シクロピリモレートなど多彩である。テフリルトリオンは、水田の難防除 雑草のマツバイ、ホタルイ、ウリカワ、ミズガヤツリなどに有効で、混合剤はノビエに対する効果が増強されている。本除草剤は、1999年ヘキストシェーリングアグレボ社（現バイエル クロップサイエンス社）により発見され、２００１年より水稲用除草剤として国内開発試験が開始された。２００３年、バイエルクロップサイエンス社、全農および北興化学の３社による 共同開発がはじめられ、２０１０年（平成２２年）に水稲用除草剤として国内登録された。
テフリルトリオンは非ホルモン系吸収移行型の除草剤で、雑草根部などから吸収されて茎葉部でクロロシス、生育抑制を起し雑草を枯死させる。植物のキノン合成系である４−ヒドロキシ フェニルピルビン酸からホモゲンチジン酸への生合成経路上の酵素４−ＨＰＰＤアーゼを阻害して、プラストキノン生合成を阻害する。一方、水稲に対する安全性は高い。テフリルトリオ ンの土壌中半減期は、圃場条件下で推定１４〜３９日で、ラットに対する急性経口毒性は、LD50:>2000 mg/kg, 急性経皮LD50：>2000 mg/kg、ウサギに対する皮膚、眼刺激性は認められ ないと報告されている。