ミニ解説（170)

21世紀の新農薬（77）イミシアホス

イミシアホスは、アグロカネショウが開発したイミダゾリジン　ホスホノチオエート系の殺センチュウ剤である（商品名ネマキック粒剤）。多くの作物、とくにイモ類、根菜類、果菜類 の栽培では燻蒸型の土壌処理剤の使用には安全性などの配慮が必要であり、非燻蒸型の殺センチュウ剤の登録農薬は限られている。また、2005年からは臭化メチル剤が原則的に製造禁止 となり、センチュウ防除はますます困難になってきた。このような背景下で登場したイミシアホスは、ネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウに高い効力を示し、 適用作物に対する薬害も問題とはなっていない。2019年11月現在、イミシアホスの登録製剤および適用は、1.5％粒剤がダイズ、野菜、イチゴ、イモ類、花卉、観葉植物などのセンチュウ 類で、30％液剤がバレイショ、メロン、スイカ、野菜のセンチュウ類である。イミシアホス原体は無色透明な液体で、自然水中半減期は、光存下で22日、土壌中半減期は、火山灰土で約3日 である。ラットに対する急性経口毒性は、LD50:81.3mg/kg, 急性経皮毒性はLD50:>2000mg/kg, 急性吸入毒性はLC50:2.08日と報告されている。