ミニ解説（166)

21世紀の新農薬（72）アシノナピル

アシノナピルは、日本曹達が開発した環状アミン系殺ダニ剤である（商品名ダニオーテ）。本剤は、かんきつ、リンゴ、ナシ、オウトウ、イチゴ、ナス、スイカなどのハダニ類、 チャのカンザワハダニに有効で、平成３１年３月に国内農薬登録が取得された。水和剤と乳剤が登録されている。本殺ダニ剤の作用機構は、抵抗性グルタミン酸受容体に作用することに よる神経伝達系のかく乱と推定されている。GABA受容体に対する活性は低いので、マクロライド系殺虫剤の作用性とは異なるようである。また、マクロライド剤抵抗性のダニ類との交差 抵抗性も見られない。本殺ダニ剤のラットに対する急性経口LD50値は、>2000mg/kgである。有用生物に対する毒性も低く、土壌残留性も見られない。なお、この殺ダニ剤に関しては第36回 農薬生物活性研究会(4月26日：東京農大）にても詳しい発表があった。