ミニ解説（165)

21世紀の新農薬（71）フルオピラム

フルオピラムは、バイエル　クロップサイエンス社が開発したピリジルエチルアミド系殺菌剤である。本殺菌剤は、まめ類、野菜、果樹などの灰色カビ病、菌核病、灰星などの病害に 有効で、国内では2013年に初年度登録された。現在、フルオピラム単剤（商品名オルフィンフロアブル）３剤、およびイミダクロプリド、テブコナゾールとの混合剤各１剤が登録されている。 本剤の作用機構は、病原菌のミトコンドリア呼吸鎖のコハク酸脱水素酵素の阻害である。現時点では、本殺菌剤と他剤との交差抵抗性は報告されていない。

フルオピラムは殺センチュウ効力も強く、単剤としてビーラム粒剤2剤（商品名ビーラム粒剤）、混合剤としてイミダクロプリドとの合剤（商品名ビ−ラムプラス）が登録されている。 ビーラム粒剤は、ダイコン、ニンジン、ニンニク、カンショ、バレイショなどのネコブセンチュウ、ネグサレセンチュウ、シストセンチュウなど主要なセンチュウ類に対して土壌混和 処理で優れた防除効果を示す。ビーラムプラスは、同じく土壌混和処理でネコブセンチュウ、コガネムシに適用される。

本剤の土壌中での推定半減期は、圃場条件（火山灰土）で144日間、ラットに対する経口LD50>2000mg/kg、経皮LD50>2000mg/kgと報告されている。吸入毒性も低い。