ミニ解説（163)

21世紀の新農薬（69）ピフルブミド

ピフルブミドは、日本農薬が開発したカルボキサミド系の新規殺ダニ剤である。この殺ダニ剤は、野菜、果樹、茶、豆類、花などに寄生するハダニ類に有効で、平成27年2月に国内での 農薬登録が取得された。現在、単剤として20％水和剤（商品名ダニコングFL)が、混合剤としてフェンピロキシメートとの混合剤（商品名ダブルエースＦＬ）が市販されている。
ピフルブミドはダニ類のミトコンドリア電子伝達系複合体IIを阻害するが、ラットや魚類の肝臓から分離されたミトコンドリアに対しては阻害作用を示さなかった。この殺ダニ剤は、ハダニ類の 成虫、若虫に高い活性を有するが、天敵や有用昆虫に対する毒性は低い。本剤の土壌中での推定半減期は、火山灰土で1日、沖積土で1日以下である。ラットに対する経口、経皮 LD50>2000mg/kgである。吸入毒性も低い。