ミニ解説（154)

21世紀の新農薬（60）フルフェナセット

フルフェナセットは、バイエル社が開発した畑作用の除草剤である。この除草剤は、ムギ、トウモロコシ、ダイズ、イネ、バレイショ、芝のスズメノテッポウ、メヒシバ、ヒエ、エノコログサ などのイネ科雑草を中心に、ナズナ、ノボロギク、ヤエムグラなどの広葉雑草にも土壌処理で除草効果を示す。我国では、ジフルフェニカンとの混合剤（商品名リベレーター）が、 コムギ、秋播オオムギ用の除草剤として、また単剤では日本芝用の除草剤（商品名テイアラ）として登録されている。

フルフェナセットは、図示したようにチアゾリルオキシ基と酸アミドとが結合した構造を有している。この除草剤は、植物の超長鎖脂肪酸エステルの生合成を阻害することで除草 作用を発揮する。フルフェナセットのラットに対する急性経口ＬＤ50>1617mg/kg（オス）、589mg/kg（メス）、急性経皮ＬＤ50>2000mg/kg　と報告されており、 哺乳類に対する毒性は極めて低い。また、鳥類、魚類、ミツバチなどの有用昆虫に対する安全性も認められている。