ミニ解説（153)

21世紀の新農薬（59）オキサチアピプロリン

オキサチアピプロリン（商品名：ゾーベック　エニケード）は、米国デユポン社が開発した殺菌剤である。この殺菌剤は、我国では有効成分10.2%を含む水和剤が平成 28年4月に初登録された。現在、ハクサイ、キュウリ、トマト、レタス、ブドウ、バレイショのべと病、疫病に適用がある。この殺菌剤は、既存の薬剤とは異なる作用機序を持つため、 既存剤に抵抗性を示す病原菌にも有効といわれる。植物体上では上方移行性に優れ、展開する新葉にも移行して防除効果を示す。

オキサチアピプロリンは、図示したように4種のヘテロ環と1つのベンゼン環が連なった複雑な構造を有している。オキサチアピプロリンのラットに対する急性経口 ＬＤ50>5000mg/kg、急性経皮ＬＤ50>5000mg/kg　と報告されており、哺乳類に対する毒性は極めて低い。また、鳥類、魚類、ミツバチなどの有用昆虫に対する 安全性も認められている。