ミニ解説（132)

21世紀の新農薬（40）− ピリミスルファンー

ピリミスルファン（商品名：ベストパートナーなど）はクミアイ化学、ケイ・アイ研究所及びイハラケミカル工業が共同開発したピリミジニルメタノール 系の水稲用除草剤で、2010年１１月に初年度登録された。現在までに、単剤が３剤、混合剤８剤が登録されている。単剤では、ピリミスルファン１キロ粒剤（有効成分０．６７％ を含む）、ジャンボ剤（有効成分２．７％）などがあり、混合剤ではフェントラザミド、オキサジクロメホン又はメフェナセットが混合相手となっている。

ピリミスルファンは、１０アール当たり５〜７ｇという低薬量で水田一年生雑草、多年生雑草に有効で、スルホニルウレア系除草剤に抵抗性の 雑草にも効果がある。この除草剤は、水稲の苗移植後３日から３０日までの普通期、早期栽培に使用される。

ピリミスルファンは化学構造上、ピリミジン環とベンゼン環がメタノールの炭素原子に結合している。今までにこれら２つの環が酸素、硫黄、あるいは アミドなどを介して結合した除草剤が多かったが、ピリミスルファンのような構造は特異的である。

ピリミスルファンのラットに対する急性経口ＬＤ50値は、３００〜２０００ｍｇ/ｋｇ、急性経皮ＬＤ50値は、＞２０００ｍｇ/ｋｇであり、 温血動物を始め、有用生物には毒性が低い。ラット２世代繁殖試験から、ＮＯＡＥＬは35.2mg/kg/day、ＡＤＩは、０．３５ｍｇ/ｋｇ/ｄａｙである。土壌中の半減期は短く、 堪水土で１２〜１３日、畑土の条件で１〜３日と報告されている。