ミニ解説（127)

21世紀の新農薬（35）−メタフルミゾン

メタフルミゾン（商品名アクセルフロアブル）は、日本農薬が開発したヒドラジンカルボキサミド系の殺虫剤である。本剤は平成21年9月にキャベツ、 ハクサイのコナガを対象にメタフルミゾン25％水和剤が国内登録された。海外では、米国で登録申請中であり、ＥＵではフランス、スペイン、イタリーで開発中である。

メタフルミゾンの化学構造を見ると、フェニルベンンジルケトンとカルバジドとのヒドラゾンを基本骨格として、３個のベンゼン環にそれぞれ含フッ素 アルキル、含フッ素アルコキシ及びシアノ基が置換している。この殺虫剤は、コナガ、アオムシ、ヨトウムシなどのりんし目害虫、カメノコハムシなどの鞘し目害虫、 カブラハバチなどの膜し目害虫に対して高い殺虫活性を有する。メタフルミゾンは、昆虫のナトリウムチャネルに作用し、神経伝達を阻害する。同じくナトリウムチャネル に作用する合成ピレスロイドに抵抗性の虫にも有効なので、合成ピレスロイドとは異なる作用機構を持つと考えられている。メタフルミゾンのミツバチ、チリカブリダニなど の有用昆虫に対する影響は少ない。しかし、蚕には影響が強いので、桑の葉にかからないように注意が必要である。

メタフルミゾンのラットに対する急性経口毒性はLD₅₀ >5000mg/kgで、 急性経皮毒性もLD₅₀ >5000mg/kgである。食品中の 残留許容値
ＡＤＩは、動物実験の結果から、0.12mg/kg/dayと設定されている。