ミニ解説（006）

作物病害の予防や治療に有効な薬剤を見つけ出すためのスクリーニング法は、シャーレ 試験（抗菌性の評価）、植物体を用いる試験（病原菌の接種と薬剤施用）、水面施用試験（主として水稲用 殺菌剤）、土壌施用試験などである。

対象となる病原菌の種類は、市場性の大きいもの例えばイネいもち病、紋枯れ病、ムギ 類や野菜のうどんこ病、べと病、果樹や野菜のうどんこ病、灰色かび病、疫病などである。基本的には、シャ ーレ試験で有効な薬剤は、対応する植物の試験でも有効である場合が多いが、シャーレ試験で効果が非常に 弱くても作物上では有効な薬剤もある。現在、イネいもち病防除剤として広く用いられているプロベナゾー ルはその例である。又、疫病菌のように、作物上でしか増殖できない菌もある。この場合には、最初から植 物を用いるスクリーニングを採用しなければならない。

最近、作物が本来備えている抵抗性を増強乃至誘導する剤が注目されている。このよう な性質を有する薬剤を発見するためには、当然植物体を使用するスクリーニングが必要である。