ミニ解説（005）

自社合成や社外供給源から集められたサンプルは、通常先ず室内での初期スクリーニン グ（活性評価試験）にかけられる。この段階では、大部分のサンプルがどのような活性を持つか不明なので、 どんなに些細なシグナルでも見落とさないことが大切である。この段階では非常に弱い活性であっても、そ の後の展開によっては大商品に育つケースもあるからである。従って、たとえ初期のスクリーニングといえ ども、経験を積んだ生物研究者による観察が必要である。
ここでいう活性とは、植物の病気に対する効 果（殺菌剤）、害虫やダニに対する効果（殺虫・殺ダニ剤）、雑草に対する効果（除草剤）あるいは植物の 成長をコントロールする効果（植物成長調節剤、略して植調剤）などである。

初期スクリーニングの効率を高めるためには、サンプルの種類が多いこともさること ながら、少ない量でできるだけ多くの試験が行えるようにすることも必要である。数ミリグラムの量でも、 農薬活性全般をテストできる方法を開発できれば、多様な供給源からのサンプルを評価できる。

初期スクリーニングで活性が認められたサンプルに関しては、温室内試験、さらには 圃場試験にかけられる。評価が進むに連れて、サンプル量を増やす必要があるので、再合成しなければなら ないが、これが非常に困難な場合が多い。ここで、合成化学者の果たす役割は極めて重要である。