ミニ解説（001）

医薬、農薬共に、特定の化学物質が何らかの生理活性を示すという点では同じである。 医薬の場合、ヒトの病気の治療と予防に役立たねばならない。農薬の場合、作物の病虫害に効力を示すか （殺菌剤/殺虫剤）、雑草防除に有効か（除草剤）、あるいは作物の生理作用をコントロールする性質（植 物成長調節剤）を持たなければならない。医薬はヒトの生命を守るために使われるので、効力が重要であり、 価格は二の次ぎである。しかし、農薬では農業の生産性を高めるために経済的な値段で販売されなければな らない。どんなに有効な農薬でも、値段が高ければ市場は限定される。
安全性に関しては、医薬は副 作用を可能な限り抑える必要がある。農薬ももちろん、ヒトに対して安全でなければならないが、田や畑な どの環境で使われるので、標的以外の生物に対しても安全でなければならない。